【完】ボクと風俗嬢と琴の音
けれど、昼職と同じ給料でこの仕事をするか?と問われれば、答えはノーだ。
やっぱりお金の為。
同じ給料だとしたらこの仕事をする子はいないと思う。
普通に病むし、精神的にも肉体的にも疲れる。
今日も3本仕事をこなして
家路を辿る。
本指名のお客さんがロングコースを取ってしまい、思いのほか長時間労働してしまった。
まぁお金になるから良いけど、さ。
帰りの電車の中で、ユカリにラインをした。
もちろん、ハルの同僚君の話を、それとなく。
外からマンションの部屋の明かりが灯っている事に気づき、ハルの方が先に帰宅したのを知る。
定時だったのかな。珍しいな。途中コンビニで買ってきたお弁当の袋をぶんぶん振り回して、マンションのエレベーターを昇る。
扉の前で足を止める。
口元が少しだけ笑ってるのに、自分で気が付いた。
きっと、きっと、琴音がちょこんと座っていて
わたしよりずっと小さい彼女は首をかしげてこちらを見つめるのだ。
そして、きっとハルはキッチンに立っている。