【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「ただいまー!!!」
「にゃーーーん!!!」
「琴音~!ただいまぁ~!!お出迎え、ありがとうねぇ~!!!」
ゴロゴロと喉を鳴らして、足元にじゃれつく。
ぴょんっと肩にのぼって、小さなわたしの肩越しの高い世界を見つめる。
「琴子、おかえりー」
キッチンから顔を出したハル。
「昨日のカレーをドリアにしたんだけど食べる?」
「食べる!!」
リビングのテーブルにコンビニのお弁当をドンっと置いて、答えた。
「お弁当買ってきてんじゃん……」
「お弁当もドリアも食べるっ!」
「太るよ~?」
「太ってもいいも~ん!ねぇ~?琴音~?」
そう呼びかけると、琴音は高い声でニャーと鳴いた。
キッチンに立つハルと
わたしに甘える琴音。
一緒に住み始めて1か月。
偶然から始まった生活だったけれど、それは思っていた以上居心地の良いもので
会うべくして会う存在がこの世にいるのならば
それは偶然の中で素敵な奇跡的な出来事で
もしかしたらその確立を人は運命と呼ぶのかもしれないけど。
それでもハルと琴音でなかったら、こんな楽しい生活になるとは思えないんだ。
だからあの日の選択は正しかった、そうすぐに思えたんだよ。