【完】ボクと風俗嬢と琴の音
そして驚く事に食生活はコンビニばかりっ!
冷蔵庫も基本的には飲み物でしかスペースを作らないらしい。
ひとり作るのも、ふたり作るのも同じ。
むしろ一人分のご飯を作ろうとするとそれは中々難しく
俺の作った夕ご飯を一緒に食べる日が多かった。
彼女はその小さい体からは考えられないほど、大食いで、気持ちよい程美味しい美味しいと言って俺のご飯を食べてくれた。
…それが、ほんの少し嬉しかった。
猫と生活をした事がない、らしい彼女。
猫の生態は殆ど知らず
けれどこの1か月のふたりを見て、出張の1週間は全然不安にはならなかった。
琴音は琴音で琴子によく懐いていたし
琴子は琴子で、猫と暮らし始めて猫が好きになったらしい。
そして今、彼女が泣いている理由といえば………。
「そんなん、人間のエゴやん…」
真っ赤に泣きはらした目とぷくっと膨れる頬。
知らず知らずに博多弁が出ている事は突っ込んだら本気で怒られそうだから止めておく。
「可哀想やん…。
しかも入院せんといかんなんて…
琴音が可哀想ばい……」