【完】ボクと風俗嬢と琴の音

ふっと思わず笑みがこみあげる。
チョコレートをひとつつまんだら、身体に悪そうな味が口いっぱいに広がった。



「ひとりで笑ってて不気味。
そんなにその菓子がうめぇか?」


前のディスクから優弥が顔を出して、俺へ悪態をつく。


「んーいまいちだねぇ。
今はどこのメーカーからも糖質オフとか健康志向のお菓子がブームだから
これは甘すぎるっ!」


「そうかそうか。
それよりお前、山岡さんとどうなの?」


山岡さん。


飲み会の前に連絡先を交換してから、彼女からはよくラインが来る。
可愛らしいスタンプつきで、内容はありふれた事ばかりだけど
結構な頻度で連絡は来る。



文字でも可愛らしい。というか女の子らしい。
今日こんなお店に行きましたよ!と写メつきでお洒落なお店の画像が届いたりする。
俺の中の、天使。


「あぁー…毎日なんやかんや連絡が着てるね。
メールとかラインってどこで区切っていいかわからん。
仕事ってわけでもないから」


「お前って本当に女心が分かってねぇなぁ。
あーあー山岡さんが晴人狙いってガチだったのかあー。
マジで世の中って不公平だわー」


「いやいや、そういうわけじゃないでしょう」


「だって俺だって山岡さんの連絡先知ってるけど、連絡なんて来ないぞ?!
女の子は気がないと自分から連絡なんてしないって」


「そ、そうなの?」


優弥の勢いに思わず後ずさりしてしまう。

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