【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「了解です。
後日連絡します」
まるで仕事のメールのように素気のないメッセージに
彼女は可愛らしいスタンプを送ってきた。
「そんなん、絶対ハルに気があるに決まってんじゃん!」
家に帰ってきて
オムライスを口にしながら琴子が言った。
ちなみにオムライスは俺作。
ちょっと卵が崩れて不格好になってしまったが、味は中々。
琴子はにこにこ笑いながら口いっぱいにオムライスを頬張る。
「あの合コンにいた美女でしょ?!
ハルが攻撃されてる時もオロオロしちゃって止めようと頑張ってたじゃん!」
「そうだっけ?」
そして帰ってきてから琴子に山岡さんのやり取りの一部始終を話した。
女心は全くダメな俺にとって、相談出来る女性がいるのは心強かった。
「可愛かったよねぇ~!あたしもあんな可愛らしく生まれてたら人生変わってたと思うよぉ!!
女の子って感じだったし!性格も良さげだし!
いいじゃんいいじゃん!頑張っちゃえよ!!」
「でも…俺なんて…」
「またそれかよ!
ハルは自分の事が分かってなさすぎだよっ!
ハルは確かに家事が趣味でお母さんみたいなところがあるけど
見た目的にはハイスペックなのっ!モテるの!!
もっと己を知れ!」
握りしめたスプーンをぶんぶん振り回して力説する琴子。
ほっぺたにはご飯粒がついている。
俺がお母さんなら、こいつは子供か。