【完】ボクと風俗嬢と琴の音
あぁ、やってしまった。
確か店長の知り合いだっけ?
これはクレームいくかぁ。
でもでもチェンジもしなかったし…あいつが言い出さなかったし
あーあーこれじゃあ金だけふんだくって逃げたみたいになってしまった…。
仕方がない。店長に正直に話してお金は返すか…。
しかし、今日は災難な日だった…。
エレベーターに乗って
手がぶるぶると震えているのに気が付いた。
さっきまで怒りで何も考えられなかったけん
今考えたら…すごく恐ろしい。
西城グループの御曹司…。
もしかしたらわたしは消されるかもしれない。
その日の仕事を終えて、店長に正直に事情を説明して謝った。
ふんだくるように持ってきたお金も返した。
「あっはっは~!だいじょーぶ。クレームなんて来てないよ~!
昔からの友達だし、へーきへーき」
店長は思ったよりも呑気だった。
「それにしても…
西城グループの方と知り合いなんて」
「小学校から一緒の仲でなぁー」
店長が言う小学校は
小学校から大学までエスカレーター式のいわゆるおぼっちゃま学校で
基本的にお嬢様、お坊ちゃましか通わない学校。
この人…何でこんな仕事してるんだろ。
そうは思ったけど深い事情は聞かないでおいた。
人にはそれぞれの事情がある。