【完】ボクと風俗嬢と琴の音


だって商売道具はこの身体なのだから。
でもさも当然って扱われると、こんな仕事をしているわたしだって傷つくよ。



帰りの途中にコンビニによって、お弁当とお菓子を買い込む。
そういえば最近コンビニ弁当食べてない!
ハルの作る、ご飯美味しいし…ハルは何だかんだって2人分作ってくれるから。



コンビニを出て
マンションに着いて玄関の灯りをつけたら


琴音がそこにはちょこんと座っていて「にゃおーーーーーん」といつもより長めに鳴いた。



「琴音ぇぇぇぇぇぇ!!!!」



琴音の求愛は普段より激しかった。
にゃんにゃんにゃんと何度も何かを訴えるように鳴いて
片時もわたしの側から離れようとしなかった。


「にゃーにゃーにゃー」



今日から、ハルが出張で居ないという事を察しているのか。

寂しい、のよね、きっと。

琴音にとって1番はハルだろうから。



帰ってからすぐにトイレ掃除していると、琴音は肩に乗ってきた。
ゴロゴロという喉の音。癒される。

意地らしく甘えてくる仕草は、必要とされている気持ちになれるから
必要とされていると感じれたら、人って生きていけるもんだからさ。


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