【完】ボクと風俗嬢と琴の音
6.晴人「近づきすぎると見えなくなるものもある」




6.晴人「近づきすぎると見えなくなるものもある」







この出張を割り振ったのは、木村さん。

木村さんは偉く俺へと当たりの強い女上司だ。

優弥いわく気に入られているらしいが…。到底そうは思えない。




今回は木村さんに同行する形で大阪。
取引先への訪問や商談など
夜は夜で接待の飲み会。




あぁ…疲労困憊。


俺、どうしてこんなにコミュ力不足なのに、営業へ配属されたんだろう。
営業部門は一般的に会社経営の中心にあたる。


その考えが人事評価に反映されて
営業部門の出身者が同期入社の中で管理職になるのが最も早く出世コースとも言われている。



けれどさっして出世欲のない自分。
俺は普通に生きていければそれでいいのだけど…
でも辛い事ばかりなのが仕事。
この会社に入ってきてから、言われた事をこなすだけでいっぱいいっぱいだった。


優弥みたいに外向的で積極的な人間なら、向いているのだと思うけど。
生きていくのって大変。



今日も1日笑顔で!!!我が社の新製品をアピール!
仮面をつけて、自分を取り繕って!!
はぁ…しんど……。



夜は夜で接待の為に飲み会へ。
胃がキリキリする飲みの場。


それでも木村さんは女性なのに、男性ばりにバリバリと仕事をこなしていく
酒にもめっぽう強い。


キャリアウーマンってこんな感じなのだろうな。


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