【完】ボクと風俗嬢と琴の音

けれどここは壁の薄い1Kのアパートで
よく鳴く琴音の存在はお隣さんにあっという間にバレて、アパートの管理会社にすぐに連絡されて
出て行ってもらわないと困る、と言われた。
もともとペット禁止のアパートであるのだから、管理会社の言い分は最もだ。


けれど自分の条件と合ってペット可の物件を見つけるのは中々難しい。
いいなぁと思う物件を見つけても、大抵は予算オーバー。
これが都心でなかったらとも思うけれど
良い具合いで兼ね合いの合う物件を見つけるのは相当難しいらしく
困り果てていた。



けれど琴音を手放すという選択肢は、もう頭の中で一切無かった。




ご飯を食べて腹を満たせばこっちになんて見向きもせずにリビングにある座椅子で体を舐め始めた。
どうやら寝る準備をしているらしい。
あぁ…なんて赤い首輪が似合って可愛らしいんだ。


そう思いながら琴音を見つめると一瞬だけこちらを見ては、すぐに逸らして自分の体を再び舐め始めた。



一息ついて、自分の夕ご飯の用意。
冷蔵庫を開けて、残っている食材を見て、今日は炒飯を作る事に決めた。


残っていた玉ねぎと人参を切って、ウィンナーと炒めて炒飯を作りながら
明日のお弁当の準備もしておく。
夕ご飯の用意をしながら明日の弁当の準備をする。
今日から準備をしておけば、明日の朝冷蔵庫から取り出して保冷剤をいれればいい。


優弥は毎日自分でお弁当を作る俺を’変わり者’と言う。


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