【完】ボクと風俗嬢と琴の音
最近明るくなったって言われて
パッと1番に頭に浮かんだのは琴音だった。
可愛らしくて、愛らしいあの子を見るたびにいつだって癒されて
仕事も頑張ろうって気持ちになった。
あのふわふわでビー玉みたいな目で見つめられて、軽い体が肩に乗ってゴロゴロと喉を鳴らす姿を見たら
幸せとはこういう事を言うのだと
「最近大切な人が出来まして」
大真面目で言ったら
木村さんはにやにやとニヤケながら、ジョッキをぐいっと飲んだ。
「何のろけ?
彼氏いない歴5年のあたしに惚気るとはあんたやっぱり大物だね」
「あ!それは誤解と言いますか」
大切な人って猫の事なんだけど…
言葉足らずで余計な誤解を与えてしまったようだが
木村さんは楽しそうに酒も進んで
言い訳する間もなく喋り出した。
「あんたに彼女とかすごい意外。
どんな子なの?」
「どんな子ってふわふわで……」
「あー!!好きそう!ふんわりしてる子好きそうだもんね、あんた」
ふわふわと言うのは、勿論琴音の長毛種特有の事であり
「目がまんまるで…」
「くりっくりなのね。
あたし、あんたの好み言わなくても何となくわかるわぁー。
可愛らしくて女の子らしい子がタイプなのよね、きっと」
だから誤解をしていると、今更弁解をするのも面倒臭くなってきた。