【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「性格は、ツンデレです…」


「それは意外!!」


「はぁー…そうっすかぁー…」


「意外に手のかかる子がタイプなのね~
ことなかれ主義の井上の事だから、聞き分けの良い子が好きだと思ったー」




その夜

木村さんはこの1週間のストレスを吐き出さんばかりか

飲むに飲んで、酔うに酔っぱらって

その後は自分の恋愛話を延々と続けた。

彼氏は5年いないけど

ずっと仲の良い男友達はいて

でもきっと相手には女としては見て貰えてなくて

それでも友達として仲良く出来るのであれば、このまま想いは届けないでいいと

笑って、泣いて、意外にも女らしい一面があるのを知った。




こんな仕事が出来て完璧な美人でもこんな悩みがあるのだと

早く帰りたいと思いながらも真剣に話を聞いて、朝方まで木村さんは帰してくれなかった。





「あーーー頭が痛ぇ……」


翌日
案の定木村さんは二日酔い。
青ざめた顔をして、大阪駅でうなだれていた。


「頭痛薬ありますけど飲みますか?」


「そんなん常備してんの?
下手な女より気が利くね……」


ポカリと薬を片手に、木村さんは駅内のカフェ内でテーブルに突っ伏していた。


「木村さん、俺お土産買ってきていいですか?」


「あーーーー忘れてたーーー」


「会社の分も俺買ってきますよ。
木村さんは休んでてください」


「井上すまんねーーーー…
あぁ何で昨日あんなに飲みすぎてしまったんだろ…」



< 152 / 611 >

この作品をシェア

pagetop