【完】ボクと風俗嬢と琴の音

琴子と山岡さんへのふたつのキーホルダーを手に取り、レジに持っていった。


出張は辛かったけど
何だかんだ勉強になる事もあったなぁー。
木村さんの厳しい態度も、俺への期待のためって言われると、気持ちが随分楽になった。
それに冷徹なイメージしかなかった木村さんが人間らしい片思いをしているって知って、この人も自分と同じ人間だなと知れたし。
結果!!良い事ばかりって事で!!!



二日酔いでダウンしている木村さんと共に
東京へ戻ってきた。



8月の終わり。
まだまだ残暑は続き
でも街中はどことなく秋色に近づいてきていて


あっという間に2か月が過ぎていた事に気づく。



琴音にお土産はないけど
琴音に会える事が1番の楽しみ!!!


やっぱり家が1番だよ。この出張でそう思えた。

疲れた体のまま、夕方東京に着いて、電車を乗り継いで自宅マンションに着くころには午後5時を回っていた。
まだまだ空は明るい。


「ことねーーーーーーー!!!!!!」


玄関を開けたら、琴音はいつも通りちょこんと座っており


「にゃーーーーー」といつもより長く鳴いた。


俺よりも先に床におろしたスーツケースが気になるらしく
鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅ぎまくっていた。
それはちょっぴり寂しい。


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