【完】ボクと風俗嬢と琴の音
おわっ!!!!
余りに近すぎる距離で、ハルの吐息がかかる。
…意識なんてしてなかったのに…。

携帯を持ったまま、硬直してしまう。
それに気づいたのか、ハルがわたしから離れて「ごめん!!!」と謝った。



「べべべべ別に~何が~?
それよりこのお店はワインの種類も豊富で
女の子は絶対好きな雰囲気だと思うけど」


「あ、ああ…確かに良い雰囲気のお店だな」


何、これ……。
あぁびっくりした。

これじゃあまるで意識してるみたいじゃないか!!

アホか!

その日は山岡さんと行くお店の話をして

ユカリの話はし忘れた。というかすっかり忘れていた。

ハルに話すのは明日で良いか。




「おやすみ~」


「おやすみ~」


互いの自室に入っていく。

ここで暮らし始めて3か月。

自分の部屋。荷物も少しずつ増えた。



服とかバックとかアクセとかしか殆ど持ってこなかったんだけど
ハルは休みの日に家具を買いに付き合ってくれていたし
思って見れば…食器は2人ぶん。 真新しいソレは…ハルがこっそり買ってくれていた物だって、最近気づいた。



でもハルはそんな事口に出していいやしない。
そういう人。
そういう良い人。


< 167 / 611 >

この作品をシェア

pagetop