【完】ボクと風俗嬢と琴の音
木村さんの言葉も大きかったし
何よりも
最近の生活に生きがいを見いだせてるのが大きかった。
大切な命。琴音という愛しい存在。
そして、その中に琴子の存在が1ミリもなかったかと言えば、それは嘘になる。
いつだって前向きで明るくて
馬鹿みたいに笑っている彼女を見ていると
単純に毎日が楽しくなっていくのを、認めざる得なかった。
でもこの生活は琴音ありきの事。どこまでも自分にそう言い聞かせていた。
「なーん?
最近やる気なんか出しちゃってさー」
俺のディスクの隣で優弥がコンビニ弁当を食べている。
何故か最近いつもより元気がない。
どちらかといえば部署のムードメーカー的な存在。そんな奴が元気をなくしていると、やや心配にもなる。
「優弥の方こそ…
最近元気ないじゃん」
それとなく探りを入れてみると
優弥は大袈裟すぎるくらい大きなため息をついた。
「お前はいいよなー。
仕事も順調で
何より山岡さんとも上手くいきそうで
今週山岡さんとご飯行くんだろ?」
「そう。六本木でワインのいっぱいある良い店を見つけたんだ」
「お前が六本木とか、おしゃれなお店とか言うと
何かびっくりするわ!お前いつの間にそんな店とか知ってる奴になったわけ?!」