【完】ボクと風俗嬢と琴の音
全部全部琴子に面倒を見てもらっているなんて、口が裂けても言えない。
そこはさりげなく誤魔化して
そうだな。
最近は物事が順調すぎるほど順調に進んでいる。
仕事は好調だし
琴音は元気で可愛いし
山岡さんとは食事に行けるし
誰のお陰だったかなんて、考えなくても答えは出ていたのに。
「俺なんてさーーーーー…」
そこで優弥が愚痴り出した。
「なんかユカリちゃん…最近素っ気ないっていうか…
ちょっとぎくしゃくしててさ、ご飯とか誘っても断られるし
やっぱり俺…ただからかわれていただけなのかな…」
「いや!!絶対それは違う!!」
ディスクから顔を上げて、必死に否定したら
それはそれで優弥は変な顔をした。
「つか…
何となく…。
だって話を聞いてる限り良い感じだったじゃん」
琴子から一部始終を聞いてるなんて口が裂けても言えなくて
そんな俺を優弥は不審そうに見つめて、また大きなため息。
琴子の話を聞いている限り、お互いに考えすぎて、すれ違ってしまっているとしか思えなかったから。