【完】ボクと風俗嬢と琴の音
こんな自分の理想通り
清楚で性格が良くて
天使のように笑って
声まで綺麗で
誰からも好かれる。
そんな人に好意を持たれるなんて、どこにでも落ちている奇跡ではない。
今のままでも幸せなこの生活。
その中にこんな素敵な彼女が出来たら
俺の人生に言う事はない。
けど………
もしも仮定として
俺と山岡さんが上手くいって恋人関係にでもなってしまったら
琴子はどうなるんだろう。
ただの同居人、けど女性と一緒に暮らしてるなんて彼女にしてみたらいい気がしないのなんて
女心が分からない俺にだって分かる。
まぁ……きっと山岡さんとの仲はこれ以上進展はしないだろう。
大体好意を持たれているのだって勘違いかもしれないのに。
そう自分に言い聞かせて、山岡さんに挨拶だけして、会社を出た。
取引先へ行ってから電車に乗ったら21時を回っていた。
あー、こりゃー琴子の方が先に帰っているなぁ。
てか夕飯作るのダルイ…。冷蔵庫の中にうどんがあったから簡単に済ませよう。
麺類は一人暮らしに必須アイテムだ。
そんな事を考える21時代の電車。
この時間には帰宅ラッシュのピークは過ぎているはずなのに…
何故にこんなに混んでいる?!