【完】ボクと風俗嬢と琴の音
けれど、琴音は俺の言葉は分からないけど
自然に隣に寄り添ってくれる。
自分勝手に振舞って
構って欲しくない時はそっぽを向いて
甘えたい時は好きなだけ甘える。
俺がいなきゃ生きていけない存在を足手まといなんて思う日はこれからだって来る事がなくて
彼女の奴隷であるのは、俺の喜びなのだ。
奴隷であるのが喜びなんて…俺はドMなのか?!
あ~あ~、どっかにいい物件ないかなぁ。
琴音を撫でながら、携帯を弄る。
築年数は新しめが良い。
会社までの電車は1本で行きたい。
駅からは徒歩10分圏内が良い。
近くに激安スーパーがあれば便利だ。
「ペット可ってファミリー向けとかが多いんだよなぁ。
あぁ!ここいいなぁ!2LDKかぁ…
そんなに広さはいらないけど…
広ければ広い程琴音も喜ぶだろうしね。
リビングの日当たりが良いのも猫にとってはいいよなぁ~」
携帯を見ながら独り言が止まらない。
そんな俺の気持ちなんてお構いなしで琴音はゴロゴロと喉を鳴らして目を閉じていた。
お風呂から上がって
髪の毛をドライヤーで乾かして
コンタクトを取って、眼鏡をかける。
鏡の中には冴えない自分の顔が映っていた。