【完】ボクと風俗嬢と琴の音
インターホンを押した瞬間は喉から心臓が飛び出そうだった。
そして扉が開けられた
そこには腕を組んでこちらを睨みつける、冷たい吊り上がった瞳。
壁に寄りかかって、口をへの字に曲げて笑いもせずに…余りの驚きに体が硬直して動かなくなってしまった。
本指名?!
もう一度部屋番号を確認しようと出て行こうとしたら
強引な力で腕を引っ張られた。
今日はスーツは着ていない。ラフな格好をしていたけど
それは西城大輝そのもので
腕を強く握りしめたまま、強引に部屋まで通される。
西城グループの御曹司。
高飛車で、嫌な奴。
金で何でも思い通りになると思っている。
前回はプレイもせずに股間を蹴り上げ、そしてきちんとお金まで持っていってしまった。
クレーム?!
でも店長は大丈夫だって笑っていた。
けれど、広い室内の真ん中にあるソファーに座らされて、大輝は目の前で大股を開いて座りながら両手を前で組んでこちらを無言で見つめてくる。
怖いよぉ!!!!
もしかして、わたしどこかに売られる?
ここで人生ブラックアウト?
拉致監禁?
しかし大輝は意外な言葉を口にした。
「飯は食ったか?」
「は?」
「だから、飯は食ったかって聞いてんの」