【完】ボクと風俗嬢と琴の音
お客さんのところでお菓子を食べたりはしたけど
きちんとした食事はとっていない。
恐ろしさの余り黙っていると、大輝は目の前のテーブルにルームサービスのメニューを叩きつけるように投げた。
「好きな物を頼め」
「え?!」
「だから、好きな物食えって言ってんだろ」
「え……
じゃあこの松坂牛のサーロインステーキ
北海道産ウニのクリームパスタ
フォアグラ食べた事ない!食べてみたい!!!
えぇ?!キャビアって美味しいのかな?!」
メニューを見て思わず食べたい物が口から出てしまった。
あぁ…食欲。
言ってしまった後に後悔。
メニューの隙間からそぉーっと大輝の顔を覗きこむ。
そしたら、意外な大輝の顔に目を丸くする。
ソファーにどかりと座り込む大輝は
ふっと笑っていて、冷たく吊り上がっていた目が線のように細くなっていた。
何?!
「お前、そんなにちっさいくせに食べれんのか?」
そしてすぐに意地悪な笑みを浮かべた。
怒鳴られて切れられると想像していたのに大輝にそんなつもりは毛頭なかったらしく
フロントへ電話を繋ぐ。