【完】ボクと風俗嬢と琴の音
’やっぱり晴人は自分を分かってねぇ!’
先ほどの優弥の言葉を思い出す。
人生でこの方モテた覚えはない。
けれど心当たりは少しだけあった。
中学時代からバレンタインチョコが人より多かったり
名前の書いてないラブレターが入っていたり
友達伝いでラインを聞きました~といきなりメッセージを送ってくる女の子も中にはいた。
けれどどれもそれ以上に発展しなかったし
面と向かって告白されたのは、高校の時にただ一度きり。
半年ほど付き合った……。
思い出しかけて、それを止めた。
’お兄は身長だけは高くてスタイルが良いから雰囲気だけはイケメンなんだよなぁ~’
俺とは真逆の社交的で恋愛にも奔放だった妹にいつか言われた気がした。
そういえばあいつは彼氏が途切れた事がないような女だった。
髪を乾かし終えて
リビングに布団を敷くと琴音が鈴の音を鳴らして上にゴロリと体を預けた。
戸締りを再度確認して、明日の仕事の用意をして、携帯のアラームをかける。
小さな体のくせに琴音は布団の3分の2を占領して、大きく体を広げて眠っている。
俺は大きな体を縮こまらせて、携帯を開き動画サイトを見る。
芸人の、トークチャンネル。
ちっとも面白くなんかなかった。