【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「そーでしょーね。おモテになるでしょーからねぇー
じゃああたしはタダでこんな美味しいご飯を食べれて、プレイもせずに楽な仕事でラッキーですわ。オホホ」
「ゲップした女が今更上品ぶったってなぁー」
悪態をついても、疲れているのは本当のようで
食欲はないって言って、持ってきてくれた料理はひとつも手をつけずに
むしろ美味しくねぇと文句を言っていた。こんな高級料理、彼ならば食べ飽きているのだろうけど
首を左右に動かして肩を鳴らし、ソファーに寄りかかりながら大きなため息をついた。
そーっと立ち上がったわたしは大輝の隣にちょこんと座って
頭をぽんぽんっと数回撫でた。
それに大輝はびっくりしたように身をひいた。
あれ?間違った?
ハルに頭を撫でられておつかれさまと言われたら、何故かスーッとその日の疲れやストレスが吹っ飛んでいった気がしたんだけど。
「あ!そうかぁ!
いつもおつかれさまです!!!」
笑いながらそう言ったら
大輝は手のひらで顔を抑えてそっぽを向いた。
「西城さんは立場上大変な事も沢山あると思います。
だからたまには楽しい事をしたり、大勢いる女に癒してもらってくださいな!!
今日も1日おつかれさまでした」
「悪くない」
そう小さく呟いた大輝は、顔を隠したまんまだった。