【完】ボクと風俗嬢と琴の音
通常通り仕事を終えて
いつもより早く家へ帰れることになった。
今頃、ハルは山岡さんとご飯を食べている。
わたしがネットで見つけた、あのお洒落なワインバーで
帰ってきたら、琴音がいつも通り出迎えてくれた。
それでも何か寂しかった。その寂しさがどういった感情かなんか考えた事もなく
琴音にご飯をあげて、琴音と少しだけ猫じゃらしで遊んで、コンビニで買ってきた味気のないお弁当を開く。
ずっと普通で、最高に美味しいと思っていたけど今日は味気がなく感じる。
「今日は~高級料理をご馳走になってしまったからだわ~!」
思わずひとりごと。しかもセレブ口調。
味気なく感じるのは高級料理を食べたせいではない。そんな事は分かっていたけどね。
缶ビールを取り出して飲みながら、琴音をカメラで撮影して
インスタグラムへアップする。
時刻は21時過ぎ。
22時過ぎて、更に缶酎ハイが3本空いて
うとうととし始めた。リビングでお風呂にも入らず、着替えもせず横になっていると琴音が寄り添うように寝息を立て始めた。
今日西城グループの例の男が本指名してきてさ。ハルに話したい事が沢山あった。
美味しい料理をご馳走になったけど、ハルの手料理には敵いはしないとか