【完】ボクと風俗嬢と琴の音
あ~あ、明日も会社か。明日は…会社に行ってメールチェックをして
午前中から取引先に訪問に行かないと…。
お昼会社で食べれないなぁ…。どっか公園で食べるか…。しかし明日は暑そうだ。
午後からも取引先と打ち合わせが入っている。
1回会社に戻ってきて、デスクワークをして
明日は定時で帰れるか全く不明だ。
てか明日まだ火曜日かよ!
憂鬱すぎる…。
それより家の方も早く決めないと!
色々な事が頭をよぎって、すっかりと目が覚めてしまった。
隣で琴音は居心地良さそうに小さな寝息をたてる。
いいなぁ。
好きな時に寝て
好きな時に食べて
好きな時に遊んで
明日も眠くてたまらない俺を朝方にニャーニャー鳴いて起こすのだろう。
自分の気持ちばかりを優先して
都合の良い時だけ俺に甘えて振り回して後は知らんぷり。
井上 晴人 24歳。 社会人2年目。
1Kの新築アパートで猫の琴音とひとりと1匹暮らし。
幸せは日常に転がっている。琴音がいるのなら、なおさら。
ひとりが好き。
でもどこかでひとりは寂しいって感じているから、琴音と離れたくなくなってしまったのかもしれない。
ここは大都会。コンクリートジャングル。
人の優しさや温かさを感じるのも難しい街で
きっと誰もが自分と同じ想いを抱えていたのかもしれない。
そして俺と同じ気持ちを抱えてこの街で生きる君に出会うのは
もう少し先の物語だ。