【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「ちょ!!汚いなぁー!!
やだー服に飛んでないかなぁ~?」
服の染み。
そんな事どうでもいい。
「西城って!西城グループの御曹司?!」
「そうそう。同じホテルの最上階に呼ばれたからまさかと思ってたらビンゴでさー」
それって、琴子を襲った奴だろ?!
何こいつは平然と話しているんだ。
例のレイプ未遂の男だろ?!
「大丈夫だったの?!琴子を襲った人でしょ?!」
「ハル…何焦ってんの…」
コーヒーカップを両手で持って、フーフーと冷ましている琴子はえらく冷静だ。
「だって危ないだろ!そんな奴!!」
「それがさー
何かこの間の事謝られて
ちょー高級な料理ごちそうになっちゃって!
ホテルのルームサービス!ハルは頼んだことある?!」
あるわけないだろ、そんなん…。
興味もないし、金もないし、高級ホテルなんて行く機会もこの先きっとない。
「サーロインステーキがめっちゃ柔らかくて!!後フォアグラね!あたしは初めて食べたの!!
ほっぺが落ちそうなくらい美味しかったよぉ!!」
だから…そんな事を聞いてるわけじゃなくて。
「なんかオレンジジュースも高級な味がしたぁ!
値段見て目ん玉飛び出しそうになったけどね」
「いや!そういう事を聞きたいわけじゃなくて!!
殴られたり…そのなんだ…無理やりされたり…」