【完】ボクと風俗嬢と琴の音
何かそれはそれで質が悪いんじゃないか。
って、全てを否定的に考えてしまう。
これは琴子の仕事の話じゃないか。
…そして俺には関係のない。
「あ、でもねー帰り際キスされちゃったー」
ぶっと再びコーヒーを吹き出した。
き、キスって…。
思わず昨日の生々しい光景が頭に蘇る。
「ちょっとー!!!ほんっと汚いんだけど!!
今日のハル、やっぱりおかしいよ」
おかしい。
確かに今日の俺はおかしい。
山岡さんとご飯に行って知恵熱でも出てしまったのではないか。
体がやけに熱い。
キッチンに行って、布巾でテーブルを拭いている間も琴子は訝し気な顔をして俺を見ていた。
「でもさ、何でわざわざ琴子なの?」
「それは分かんないよー。
まぁキスくらいプレイ内容に含まれてるし、1日何人もの人とするから大したことないんだけどさー
お金持ちだし、お話しするだけに呼ばれるなら疲れもしないしラッキーって感じかな~?」
呑気に笑っている琴子。
それって笑いごとか?
1回危険な目に合ってるなら、この先合わないなんて言いきれないし
危ないじゃないか。
そう言いかけて止めた。
だってそれは琴子の人生だし、琴子の仕事。
俺が踏み込むべき場所ではないし