【完】ボクと風俗嬢と琴の音
ネットの中ではキラキラとした女の子たちが
優雅な自分たちの日常を全国へ発信している。
生まれ変われるというのならば、こういう女の子になってみたいものだ。
可愛いデザートプレート。
ハッシュタグ、サプライズ。
さりげない高級ブランド。
ワインに写り込む男の影。
こういう世界が実際にあるって、同じ東京に生きているのにいまだに信じられない。
「あーインスタグラマー?」
ユカリがわたしの携帯を覗き込む。
「この人有名だよね。港区女子って奴?
でもあたしはツイッターの方が好きだなー。
インスタグラムはキラキラした女の子ばかりでなんか現実感はないけど
ツイッターは本音がいっぱいって感じ」
「そう?」
「結構検索してみると面白いよ。
えげつない女の本性とか見てるとウケる」
「ユカリはほんとそーいうの好きだねー」
「まぁね~!
それより飲みに行こ!
安いんだけど良い居酒屋見つけてさー」
「いいの?」
「うん!昭和って感じのー!カウンターとかべたべたしちゃう感じの!」
「ユカリ好きだよね、親父くさいの」
「琴子だってお洒落な店よりそっちの方が好きじゃーん!
大体高級なお店はお客さんに連れていかれるけど柄じゃないねぇ!!」
ユカリのそういった飾らない所
それが一緒にいられる理由だと思った。