【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「女の匂いがすんのよー
あたし以外の女といたでしょう!って感じなんじゃない?琴音からすると」
「琴音ー!俺にはお前だけだよー
もぉ本当に可愛いなぁお前はふわふわしてて
抱きしめたい~」
ぎゅっとふわふわの体に身をうずめると
琴音はひょいっとそれを交わして、この間買ってあげたキャットタワーのてっぺんへと登った。
「あはははは~振られてやんの~」
「飼い主は琴子じゃなくて俺だよ…」
これも成長というものなのだろうか。
それならば思春期の娘を思う父親の気分だ。
こんなに切ないものなのか。
「どうだったー?山岡さんとー」
「休日に出かけませんかって言われた」
「デートじゃん。
やっぱり遊園地はマストかな?
水族館とかもいいし、映画は駄目だよ。趣味が分かれがちだし何て言っても話す時間が少なくなっちゃうからね」
「いや、全然自信がないし
少し荷が重い……」
それは本音。
彼女の事を考えると
どこへ連れて行けば喜ぶのかとか
デートって何を着ていけばいいのかって
ダサッとか思われたくないし
嬉しいのに疲れるって
何か矛盾してるよな。