【完】ボクと風俗嬢と琴の音


「何か中身のない話を繰り返してるだけな気がする…」



ぼそりと呟いた言葉に琴子は不思議そうに首を傾げた。

はぁ~ジャージ楽ー
眼鏡楽ー
テレビは騒がしいし
キャットタワーで眠る猫は可愛いし
テーブルに散らかったアイスのゴミは生活感があるし
座椅子に寄りかかって、ボーっとする時間って何て幸せなんだ。


仕事や用事を終えて家で一息つく瞬間
1番リラックス出来る。



「今日は何したー
仕事がどうだったー
これ美味しいー

なんて話をずっと繰り返してる気がするって話。
そこには中身なんてちっともなくて、それでいいのかなぁって」


「あぁ、山岡さんとの事?」


「楽しいっていう感情まではまだ追い付かないんだ。
緊張ばっかり先走っちゃってさ
楽しめる余裕がないってか…」



「いーんじゃん?
それって恋の途中のドキドキ期間って事じゃない。
そういう時が1番楽しんだし、それに恋人同士なんて結局付き合ったら同じ話の繰り返ししてくんじゃん。
てか幸せとは何気ない会話や日常の中にあるもんだし」



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