【完】ボクと風俗嬢と琴の音
幸せとは
何気ない日常。
それはまるでこの時間そのもので
とか考えだしたら、それってどうなのよって話で
山岡さんじゃない違う女の子といる時間が、1番安らぐ時間だなんて
しかしこれは日常。
琴子がいるから安らぐ時間なのでは断じてなく
俺の安らぐ日常に琴子がいるだけなのだ、と。
何故俺は分かり切っている事を何度も頭で整理しているのだろう。
「ん?」
スッピン、眼鏡
奥二重
低い鼻(と、本人は言う)
笑うと口が大きく広がって
金髪の頭、前髪をちょんまげにしている。
想像出来なかった。
山岡さんが余りにもリアリティーがなくて
一緒に’安らぐ時間’を過ごす事を想像出来なかった。
だって彼女はあまりにも素敵すぎて。
「そういえば今日ユカリから写メ送られてきたよ」
琴子が見せる携帯の中には
笑っているユカリさんと優弥が写っていた。
何とまぁ幸せそうな事で
あれから…
あの偶然会った居酒屋で結局ふたりは互いの気持ちを確かめ合って、付き合う事になった。
それから毎日のようで優弥はユカリさんとあーだこーだって話をしてきて、彼女がいかに魅力的な女性かと
耳にたこができる程聞かされて、でもユカリさんの話をしている時の優弥は幸せそのものだって顔をしていて
安心したり、羨ましかったり、何だかモヤモヤしたり
そのモヤモヤの理由ってのは――――