【完】ボクと風俗嬢と琴の音


「へぇ、幸せそう。
てゆーかユカリさんスッピンも綺麗だね」


悪気なくそう言ったつもりだけど、琴子はぷくっと頬を膨らませた。


「悪かったねースッピンブスでぇー」


でもすぐに悪魔みたいな笑顔になって、俺の反応を楽しもうとしているんだ。


「琴子は全然ブスじゃないよ」


「お?
優男?」


「本気でそう思ってるけど
むしろ化粧してる時の方が変だけど」


「変って何よ」


「変は変だよ。時たまアイプチのノリが瞼に引っ付いてて怖い」


「キー!これだから天然ぱっちり二重の奴ァー!」




琴子は騒いでいたけど
それは紛れもない本音だ。

彼女は決してブスではない。
かといって絶世の美女とも言えないけど
ユカリさんのようにスッピンでも綺麗だとは絶対に言えないし、山岡さんのように大学のミスキャンパスには絶対になれない。


でも


スッピンでジャージ姿で
眼鏡をかけて、豪快に笑う君は
理不尽な事があれば自分より強い人にも後先考えずに喧嘩を売って
電車の中で妊婦が困っていれば躊躇なく助けられて
自分より弱い生き物には優しくて



君は、自分が思っているより――――ずっと綺麗だ。



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