【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「コート欲しいんだろ?」
財布の中からブラックカード。
おぉ!一瞬お金に目が眩んでしまいそうにもなるけど
「いいえー、今は貯金を頑張っていますので結構です」
「金なら吐いて捨てるほど持ってる」
「嫌だわ~この人お金で何とでもなると思ってる~
最低だわぁ~」
「お金で買えない物なんかないね」
「嫌ですね~捻くれてる人って」
捻くれているとは思う。
口は悪いし、滅多に笑いやしないし感じは悪い。
それでもこの人が悪い人だとは思えないのは、この人なりの思いやりが垣間見える瞬間があるからだ。
けど、ハルは危ないって否定する。
何が危ないんだか分かりやしなんだけど。
わたしにとっては全然危なくない。
素直じゃない、寂しがりやの小さな男の子に見える。まぁ年上なんだけどさ。
基本的に男っつー生き物は寂しがりやで甘えん坊でどうしようもないってこと。この仕事をしていたら、知りたくなくても知ってしまって
だからこそ私たちの仕事が成り立っている部分があって。
「しかし、暇だなー」
「仕事してください!」
「今日は仕事の気分じゃないんだ。
それに俺がいなくともどうとでもなる会社だしな」
「次期社長が何を言っているのやら」