【完】ボクと風俗嬢と琴の音
半ば強引にそこから逃げるように去って行った。
夢にも思わなかった。
変な暇つぶし、としか。
だって理由なんてどこにも見当たらないし
けど…おそらく…自意識過剰でなければ
あの人、わたしの事…好きだ。
「それでねー優弥がさーこのネックレス買ってくれてぇー
クリスマスにはイルミネーション見に行ってぇー
ねぇプレゼント何がいいかな?!」
「へーそーなんだー」
「…琴子、あたしの話聞いてる?」
「あ、ごめん」
仕事終わり、今日はユカリとご飯を食べに行く約束をしていた。
まぁ優弥さんとの惚気話がしたかったんだろーけど。
けど今の私はユカリと優弥くんの恋愛話を聞く余裕もなくて
思わずボーっとしてしまっていた。
大輝がわたしを?何故?
大輝の周りにはわたしなんかより綺麗な人が沢山いるはずだし
お嬢様だって周りに沢山いるはずなのに
ただのデリヘル嬢のわたしなんか……
「なにー?今日の琴子変だよーボーっとしちゃってさぁー」
「別に…ちょっと仕事が疲れちゃって
それで?優弥くんとはイイ感じなの?」
「それはそれはいい感じ~!もうラブラブすぎて
唯一の不満と言えば昼と夜で時間が合わないことかな~」
「あ~そ~ね~
でもふたりなら大丈夫なんじゃない?もう一緒に暮らしちゃえば?つっても半同棲状態か…」
「そうなの~年明けには本格的に同棲を始めちゃおっかなぁって。
あぁそう言えば優弥と一緒にいた友達の事覚えてる?
井上さん」