【完】ボクと風俗嬢と琴の音
けれどツイッターの中にあった彼女らしき裏垢。
言葉を失って彼女ではないと信じたかった。
これは誰か、別人。
けれどわたしへお土産だってたこ焼きキーホルダーを渡すとき
’山岡さんにも買ってきたんだ!
喜んでくれるといいな’
’ぜーったい喜ぶよー
それ可愛いもん~’
そんな会話をハルとした。
あの時ハルが見せてくれたキーホルダーと
ツイッターの画像に乱雑に写されたキーホルダーは完全一致。
嬉しそうに笑ったハルの屈託のない笑顔と
合コンの時に見せていた山岡さんの可愛い笑顔が
交互に揺れた。
お風呂から上がったらハルはリビングで眠る琴音と一緒にテレビを見ていた。
こちらを向いて「疲れてるならしっかりと休みなよ」と笑って言った。
その優しい心をとっくに知っていた。
だからそんなハルを傷つけたくなくて
わたしは何も言えずに、ただハルを見つめるだけだった。