【完】ボクと風俗嬢と琴の音
俺の中の夜の仕事をしている子のイメージって金遣いは荒くて何に対してもだらしないって勝手な偏見だけど
時間にもルーズで、ちゃんとしてないってイメージしかなかった。
けれど琴子は週に6回仕事に行くし
遅刻もしないし
だから俺の中で風俗嬢やキャバ嬢のイメージは変わった。
優弥の彼女のユカリさんだって、しっかりしているように見えた。
「ハルはシンプルな服が似合うよ。
スタイルがいいんだから」
ひとりでは入る気さえしないお洒落なお店に琴子は入って行って
俺のコーディネートを始める。
何着も手に持って、それを何度も合わせる。
「んー白が似合うなぁー
白は王子様しか似合わないはずなんだけどなぁー」
「俺は王子様だったのかー」
「コートは絶対茶系がいいねー。
なんでチェスターコートって背が高い人にしか似合わないんだろー
あたしが着たらまるで服に着られてるみたいになるもねぇ」
「ぷ。」
「あー笑ったぁー…
でもマジで笑えるの!
1回試着したら、店員のお姉さんが、に、あいますよ…と笑い堪えていたし
チビはチェスターコート着るなってかぁー?」
「琴子は元気な服装が似合うよ。
さっきのパーカーとかすごく似合ってたし
コートならショート丈のダッフルとか似合いそうだし」
そう言ったら「へへ」と照れくさそうに笑った。