【完】ボクと風俗嬢と琴の音
琴子にお洒落そうなお店に何軒も連れまわされて
2時間近く、真剣に服を選んでくれた。
自分の事じゃないのに、誰かの為に嫌な顔ひとつせずに付き合ってくれるって
あんまり出来る事じゃあないよなぁー。
琴子はこう見えて
心がかなり広い。
「何かさ、こうしてるとデートみたいだよねっ」
琴子が何気なく言った。
その言葉に少しだけ動揺してしまった。
…でも言われてみれば
「いいじゃんいいじゃん。
デートの予行練習ちゅー事で」
「でも俺…山岡さんの前だったらこんな素でいること出来ないよ」
「それは好きだからでしょ~?
でも付き合ったらお互いの素もちゃんと見せなきゃいけないし
そうやって相手の嫌なところも良いところも見つけていかなきゃいけないんだから。
付き合うってそーゆー事だよ」
嫌なところも、良いところも
見せて、いけるのか?
こんな俺なんか…っていつも思ってしまう。
気が利くタイプでもないし
山岡さんの理想通りの男にもなれそうにない。
はぁ~~~~琴子の前だと緊張もしないし、素でいられるのになぁ~…
でもそれは琴子がありのままの俺を否定しないで、同じペースで生活を送ってくれるからだ。
ごく自然にしているようだけど、琴子にだって無理をさせてしまっているのかもしれない。