【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「でも何かたのしーなぁー」
「ん?」
「あたしはハルに会うまでは結構出かけるのが好きだったんだよ。
だから久しぶりにショッピングらしいショッピング出来てたのしーなぁーって」
無理をさせてしまっていたか…やっぱり。
「何か、ごめん」
「何がぁ?」
「いや、俺の生活に合わせてくれてるんかなぁって思って。
別に俺たちはただの同居人なんだから…
琴子は琴子のプライベートの時間は好きな事をしていいんだよ」
「バカだなぁ、ハルは」
そう言って琴子はアクセサリーショップのピアスを指で弄っていた。
「無理をしているわけじゃないんだよ。
知らなかっただけ。
琴音とハルと過ごす何にもしない休日がこんなに幸せだなーって
今までは知らなかったから、そうやって過ごした事がないから
だからこんなにゆったりした幸せがあるんだなーって教えてくれてハルには感謝だよ」
本当にそうだったのならいいのだが
彼女はとても優しい人だったから
笑いながらも、悲しい気を使ってくれる子だったから。
「そろそろお昼でも食べるか」
「いいね~お腹ぺっこぺこ~」
「買い物にも付き合ってくれたし琴子の好きな物奢るよ」
「わーいわーい!いっぱい食べちゃおう~!」