【完】ボクと風俗嬢と琴の音

告白?のようなものをされて以来
大輝から連絡は途絶えた。
お店でも指名されてない。週に何回か必ず指名で呼んでいたくせに

そんなもんか、と思ったのと同時に迫られれば困るくせに、追ってこなければ少しだけ寂しいなんて
人間って贅沢な生き物だなと思う。




「あははは、何か切れちゃったぽいよ?」


「そ~なの~?
お客さんって飽きっぽいよねぇ~
それにしても今日は暇ァ~」



ミコは典型的な風俗嬢だった。
色白ぽっちゃり。ふんわりとしていて頼りなさげで
周りに流されやすくて、情が強い。

だから、馬鹿な男に捕まりやすいんだ。



「ミコちゃん、額」


「あ、バレた?
ちょっとねぇー」


「澤田くん?」


ミコはペロッと舌を出して「あたしが悪いんだぁー」と言った。



痛々しい左手首のリストカット。
男からのDV。
口癖みたいな あたしが悪い。
絵にかいたような風俗嬢。けれどこういった女が少なくないのもこの業界で



「ココちゃんはぁー彼氏とかいないのー?」


「いないよ。そんなもん」


風俗嬢が恋愛するのって大変。
でも実際彼氏がいたって旦那がいたってこの仕事をしている人は多い。

内緒でしてるって人もいるし、知っててさせている男もいる。それって結構最低だと思うけど。
自分の女が見ず知らずの男と裸の付き合いしてるんだよ?普通の神経だったら耐えられないでしょ。
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