【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「大輝!
どっちが可愛いと思う?」
大型のペットショップには目移りしてしまうグッズが沢山置いてある。
差し出したのは猫の首輪。
赤と白。 赤と黒。 ハートのデザインがついていて、可愛らしい琴音に絶対に似合う。
もちろん鈴付き。
うるさいって思う人も多いと思うんだけど
猫が歩くたびにリンリンと涼しい音が鳴る。それがわたしは好きだ。ハルも好きだと言った。
大輝は右へ左へ視線を移して
「違いがわかんねぇ~」と何故かその場で頭を抱えてしまった。
「どっちも可愛いならどっちも買ってしまえばいいだろ
ゲッ、700円?!」
そう言って無理やりわたしの手から首輪を奪い取る。
トウッとジャンプして大輝の手の中にあった首輪を取り返す。
「なにすんだよっ」
「どっちも買ったらありがたみがないでしょーが!
大体こーゆーもんは選んでる時がずぅっと楽しいんだから」
「そーゆーもんか?
昔から親父は俺の欲しい物何でも買ってくれたから
それもずっと楽しかったぞ」
「大輝、ひとつのオモチャをずっと大切にした事がないでしょう?」
「飽きたら捨てる」
「はぁーーーーーーーー」
わたしはわざとらしく大きなため息を吐く。