【完】ボクと風俗嬢と琴の音
そしてたっぷりと汗をかいた後はわたしの食べたいもの。
「ひょいっと」
鉄板の上で、お好み焼きは綺麗に反対側に回った。
料理は全然出来ないけど、お好み焼きをひっくり返すのは得意。
大輝はその様子を不思議そうに見つめていた。
「何?まさかお好み焼き食べるの初めてとか、言う?」
「いや……お好み焼きはシェフがおやつとして作ってくれた事があった…
でもこんな小汚い店で、素人がくるっと回すのは初めて見た。
琴子すっげぇなぁーーーー」
大輝はえらく関心したような顔でわたしを見つめてきた。
これくらいですげぇって言われたのは初めてだよ。
「ぶはっ!大袈裟だなぁ~
こんなもん誰でも出来るよー」
「すごいってお前もしかして天才かも
それか料理がすごくうまいのか?!」
「…これ料理のうちに入らないと思うんですけど…」
今日1日はぐったりと疲れた。
けれど、最近の悩みであった山岡さんの裏垢の件は忘れている自分がいた。
久しぶりに体を動かしたし、すっげー気持ち良かった。