【完】ボクと風俗嬢と琴の音
眠らない街新宿。
わたし達が真っ暗闇の中迷わないように灯りをともし続ける街。
そこに行けば誰かがいて、自分以外の誰かと寂しさを分かち合える錯覚に陥る。
でも本当の寂しさを埋められるものなどない。
偽物ばかり掴まされる街で、浪費して消費して得るものなんて何ひとつないんだと思う。
それでも誰かと一緒にいたいと思うのは人間の本能で、人間はひとりでは生きてはいけない。
どうしようもない寂しさの中で
消えてしまいたい夜があった。
きっとわたしだけじゃなくて
誰もがそんな寂しさを抱えて生きているもので
寂しさを共有するのは、そんなに悪い事ではない。
ぐぅ………。
なんて真面目な事を考えていたらお腹が空いた!
その日暮らしのわたしには待っている家族なんて当然いなくて
一人暮らしをしているボロアパートさえ追い出されそうな始末。
家賃3か月分滞納していますよ!大家に毎日言われる言葉を思い出し、財布の中に入った数万円を握りしめる。
家賃を払うくらいの収入は余裕であるはずなんだけど、わたしはやはり馬鹿女らしく
毎夜特に楽しくもないホストに行って小銭で遊び
手に入れたら満足をしてしまうブランド物を買ってはカップラーメンをすする日々。