【完】ボクと風俗嬢と琴の音


「食べたら家まで送って行くよ」


「いいよー、大した遠くないし」


「送るってば。
猫は嫌いだけど、琴子の琴音?ちゃんには会いたいかも」


「家にはいれないよ!」


「なんだよー
襲いやしないって。
大体手を出してるならとっくの前に出してる」


「確かに。
でも家は駄目!絶対に駄目!」


「なんでだよー…」


「同居人もいるし」


「同居人?だと?」

大輝の目が少しだけ鋭くなった。

「それってまさか…男」


「男。
でも大輝が考えているような事は何もないよ。
彼氏でもないし
あたしたちは事情があって一緒に暮らしてるだけだから
ほんと、ただの同居人。琴音も同居人の猫だし」



誤魔化す事はいくらだって出来た。
でもはっきりと言っておきたかった。

もしも…
大輝の気持ちが本気であるのならば、その気持ちを受け取る事は出来ない。
それなら幻滅してくれた方が楽だ。
風俗嬢で、男と暮らしている。ほーら、だらしない女だろ?
けれど、大輝は次に意外な言葉を口にした。



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