【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「琴子
お前は風俗をやめろ」


「なに?」


「別に風俗が悪いってわけじゃねぇんだ。
でも俺は自分の好きな女が風俗で働いてるってのは許せねぇ」


「嫌だよ。あたしの人生だよ。何で大輝に決められないといけないのさ」


「そしてその同居もやめろ。
部屋なら俺が借りてやる。タワーマンションの最上階」


「だから!あたしは大輝にそんな事してもらう義理だってないんだってば!
それに好きとかおかしいよ…
あたしは風俗嬢だし、どう考えても大輝とは釣り合いがとれてないでしょ?」


「俺は……釣り合いが取れてるとか取れてないかで人を好きになったりしない」


大輝の真っ直ぐな言葉にドキリとした。


「辞めては欲しいと思うけど
風俗嬢だったことを軽蔑したり、差別したりはしない。
何をしていたって琴子は琴子だから」


「バカ……じゃねぇーの……
何であたしなの…?」


「人を好きになるのに理由なんてある?
お前が俺の前に現れた。
股間を蹴り飛ばされた。なんてむかつく女だと思ったよ。
でも…今までの人生で俺に逆らってくる女なんていなかった。
面白い、と思った。
それに琴子は俺が西城グループの御曹司であると知っても出会った頃と変わらないで接してくれる。
俺の周りには、琴子のような女はいない」


「そんなん探せばいっぱいいるよ…大輝は世間知らずだから…」


「いない」


きっぱりと言い切った。
何こいつ、マジ。


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