【完】ボクと風俗嬢と琴の音
こうなってしまえば
自分は細胞レベルで駄目人間なのではないかと思う。
踏み外すのは簡単だけど、這い上がるのは中々難しいようで
どん底はどこまでも無限に続いていくよう。
家賃払わなきゃ。
せめて、せめて、そこだけは確保しておかないとガチでホームレスになってしまう。
とあるブランド店で’新作ですよ~’と言われて買ってしまったバック。
その中に入れていた携帯がバイブ音を刻む。
さっきまでは確かに家賃払わなきゃ。と考えていたはず、なのに。
「さぁ~パーッと飲もうよ!」
なのになぜか足を向いてしまったのはホストクラブ。
「琴子暗いじゃ~ん!
今日はとことん飲もうよ~!」
上京して2年。
友達らしい友達はいない。
リップスで話す子は数人いるけど。
先ほど電話をくれたのはユカリっていう歌舞伎町でキャバをやっている女の子で、今からホストに行こう!と誘われて家賃の事さえ忘れて即答で行く!と答えてしまった。
やっぱり馬鹿だ。
大バカヤロウだ。
目先の快楽にとらわれて
後先の事を考えれない。
サル以下。
でも酒や男で忘れたい夜は山ほどある。