【完】ボクと風俗嬢と琴の音
人を問い詰めるような
それは尋問に似ていて
だからこういった高圧的な人間は苦手で
ハッキリ物事を言えない自分にはもっとイラつくくせに
「ではお邪魔しました」
パタリと冷たく閉じられた扉。
ボーっと暫くそこに立ち尽くしていた。
俺にとって、琴子って何だ?
「にゃーーーん」
琴子に部屋に連れていかれたはずの琴音が足元にすり寄ってきて
ゴロゴロと喉を鳴らしながら床に体を擦り付けて転がっている。
「おわ!!!」
リビングのドアからこっちを変な顔しながら見つめている琴子がいて
う~っと口を結んで何かを言いたげにしていた。
「物やないと…」
「へ?」
「新しい物なんてどこにもないと。琴音は世界で1匹しかおらんと……」
琴音、と彼女の口から出たら
俺の足元で床に転がっていた琴音の耳がぴくりと動いて
立ち上がって、彼女の元へと駆け寄った。
落ち込んだように眉を下げて下を向いた彼女の足の周りを
機嫌が良さそうな琴音はニャーニャー言いながらまとわりつく。