【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「ごめん、ハル…」



琴音を抱き上げて、困ったように琴子は笑った。
何故謝るのか
何についてのゴメン、なのか。
でもその笑顔、嫌いだ。 悲しくなる。
俺はもっと、そんな笑顔じゃなくて
君には屈託なく笑っていて欲しいのに



けれどあの場で俺はただの傍観者だ。
きっとこの先も
何も始まらない物語。
いつか必ずやってくる別れの日まで何も進展のない物語。



ねぇごめんって何が?
あいつを家にいれたこと?
この家を出て行こうと思っていること?
あいつと付き合おうと思っていること?



全部聞けない。
だって俺と琴子を繋ぐもの
繋ぎとめておく理由、見つけられないから。



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