【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「それってもう告られてるようなもんじゃんか。好きな人じゃなきゃクリスマス一緒に過ごしたいなんて思わないってフツー」




笑顔上手く作れているかな?けれど笑顔を作ろう作ろうとするたびに、胸がズキズキと痛んでいくんだ。


12月24日。クリスマスイブ。
なんつー日に産んでくれたよ、かあちゃん。
お陰で小さな頃から誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントはごっちゃにされがちだし
歴代の彼氏たちもそれに倣って何故かプレゼントひとつだったけど
友達からはロマンチックだねって言われてたけど、得した事は一切なかった。



「あのさっ」



顔を上げたハルは何かを言いたそうにしていた。
それと同時に、テーブルに置いてあった携帯が鳴った。
着信はユカリからでわたしは携帯を手に取って、自分の部屋へと入っていく。

バタンと閉じる扉。
互いの部屋が閉じている事なんて滅多にないから不思議なのか、扉の先から「ニャー…」と小さな琴音の鳴き声が聴こえた。




「もしもし」


「もしもし!!琴子?!」


「声デカ。どったの?」


「ちょっと聞いてよ!今日優弥くんとデートしてたらさ
偶然会ったの!あの居酒屋で一緒にいた井上さんと美麗ちゃんに」


「へぇ~……」


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