【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「あの女クソむかつく。絶対性格悪いよ。
あたしは大嫌い。何かあたしを見下してきたりして、一緒にいた井上さん?
あの人ポヤーとしてるから絶対騙されてるね。
別にあたしにゃー関係のない事だけど、優弥くんの友達じゃん?
ほんっと男ってバカだよね。あんな分かりやすい奴に騙されて」
「ふぅ~ん…」
「あ、それよりクリスマスあんた誕生日でしょ?
なんか予定あんの?」
ユカリの声がどっか遠くで聞こえているような気がして
電話には集中出来なかった。
ニャーニャーと琴音がわたしを呼ぶ声が聞こえる。
あぁ、猫になりたい。
どこか空気の悪いラブホテル。
悪趣味な壁紙。
カビの匂いがするシーツ。
丸いお風呂。
七色に光る照明。
「可愛いねぇ、ココちゃん」
「あ……」
「本当に可愛い」
「んぅ……」
手垢のついた、わたし。
裸になって、おっぱいもあそこも丸出しにして
大した知りもしない男に弄られて
感じてるふりして、可愛らしい声を出して
絡み合って
いっぱいキスをして
男のアレを両手で掴んで、舌を使って舐めて咥えて
口の中に吐き出された欲望をティッシュにペッと吐き出す。
この姿を実際見たら、ハルは軽蔑の眼差しをわたしへ向けるのだろう。
もうハルはわたしへあの柔らかい笑顔を見せてはくれないのだろう。