【完】ボクと風俗嬢と琴の音


「おつかれー」


「おつかれさまでーす」


「お疲れのところ悪いけど
本指名入ってるよ。例のホテル」



澤田くんが、いやらしい顔をして笑った。
ふんふん鼻歌を歌いながら、ハンドルを握る。軽率そうな男。
こんな男どこがいいんだろう。ミコちゃんの泣きそうになりながら笑う顔を思い出していた。

恋愛なんてそれぞれだけど。




いつものホテル。このホテルの最上階で指名してくるお客さんなんてひとりしかいないし
大輝のお陰で指名ランキングなんて入りたくないのに入っちゃうし、それで人気嬢なら良い嬢なんじゃないかってネット指名が入ってがっかりされる落ち。

カウントの仕方が妙で、どれだけ沢山の人に指名されたかじゃなくて
同じ人に指名されても1時間1本本指名としてカウントされる。
だからロングコースで入ったら、本指名6本ってカウントされる。
他の店舗はどうか知らないけど、うちの店舗はそうカウントされる。



「どうぞ」


「こんにちはぁー」


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