【完】ボクと風俗嬢と琴の音
部屋に入った瞬間
わたしはベッドに倒れ込むように横になった。
ラブホテルのベッドと違って、ふかふかだ。さすが一流ホテル。
大輝はソファーに腰を掛けて、こちらを見つめる。いつも通りだ。
「何かお疲れで」
「えぇ。先ほどのお客様、2回抜いてきました。
1時間で2回抜けって結構辛いものだね」
「ははっ、それは元気が有り余っているようで結構」
機嫌が良さそうにパソコンに向かい合って
鼻歌なんか歌っている大輝。
わたしはこの人に告白のような物をされて、何故か家に上がりこまれ、ハルと住んでいるのがバレた。
それで仕事は辞めろって言われて家は用意するって言われて
それからこの人の連絡を無視していた。
「別に指名なんてしてくれなくていーのにー」
「だってあんた、俺の連絡受け取る気ないでしょ?アレだけ華麗にしかと決められたら、呼ばざる得なくなる」
「は~あ~、これだからお金持ちの考えている事ってわっかんねぇや。
大輝なんてあたしみたいのじゃなくてもいっぱい素敵な人に出会えるでしょう?
わざわざ風俗嬢じゃなくってもいいでしょ?」
大輝はソファーから立ち上がって
わたしの寝ているベッドにやって来た。
押し倒される形になる。 大輝の涼しい目元。わたし達はお互いジーっと見つめ合って、目を逸らさなかった。