【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「西城さん、何でここに?
とりあえずどこかでお茶でも」
「いや、いい。ここで十分。
長い話をするつもりはないから」
ふーっと言って、少しだけ俺を見上げる。
「やっぱり君の方が大きいね」
「少しだけ…ですけどね」
「そんなところまで君に負けていると思うと少し悔しいよ」
「身長以外は西城さんの圧倒勝ちだと思いますけど」
フッと小さく笑った。
「この間琴子と
ベッドでそういう事をしていまして」
「は?」
この人、突然何を言い出すんだ?
そんな事、聞きたくもないのに。
「まぁ途中までですが……」
「それは仕事中、という事でしょうか?」
「あぁそうだね」
「それじゃあそれは嘘ですね。
彼女は仕事中であれば絶対に本番はしないと言っていましたから。
というかそういった下らない事であれば僕には関係ないので失礼させていただきます」
くるりと振り返ったら
西城さんは俺の肩へ手を掛けた。
振り返って見せた瞳は、あの日のように鋭い目だった。
「仕事中でもその気になったという事は僕の事が少しでも好きになっているという事でいいでしょうか?」
だから!
俺にそんな事を聞かれたって
意味わからん。